たべたもの

どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間であるかを言いあててみせよう。(ブリア=サヴァラン)

スープの専門店

初めてスープの専門店に行った。

別にスープを食べたくもなかった。スープでもなんでもよかった。深刻な話をするのが目的だったので。

飲み物はアールグレーを頼んだんだけど、この食器がなんか緑色のなすびみたいなファンシーなヤツで、急須とポットが一体になってて、このファンシーさはいらない、深刻な話をするのに私ってなんてマヌケっぽいんだって思いましたよ。だいたいなんでアールグレーがなすびなん?!

まあマヌケかどうかはどうでもいい。

私、世間的に見てかわいそうな状態におかれてたと思う。それを客観的に説明してるのに、世間的にどうとかは関係ないらしい。私が嫌かどうかが問題なのだって。

頼むわー

何かあるたび世間とか常識とかではなくお前はどうなのだっていう問いを突きつけられたら、私その一つ一つ、家族の原初形態から考え続けて、考えてるだけで一生を終えますわ。社会規範に則って受け入れられないところを話し合うという路線でお願いします…

と今朝思った。

スープは食べる気にもならなかったけど相手がトイレに立ったとき一気にかき込んで食べた。味は覚えてない。

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外食の日々

ここ数ヶ月、これまでの人生で一番密度高く外食していた。

今までの私の外食といえば、特別な日に高いご馳走を食べたりするような感じだった。

特別な日というのにも昇進とか結婚記念日とか誕生日とかいうスペシャルなものから、月に一度外食しようというほとんどスペシャル感のないものまでいろいろある。どっちにしてもばっちりお化粧して微笑んで静かにたべてるような感じですね。

ここ数ヶ月のは、そういう外食ではなくて、ふだんの食事が外食になったっていう感じの外食。

楽しかった。

中にはとてもとても安い店も不味い店もあって、こういうところで一人で夜遅く食べていたら惨めな気持ちになるかもって、ひとりで夜遅く食べている人のことが思い浮かんで、ふと、気持ちが遠くに行ってしまいそうな瞬間もあったけど、でも一人でなかったので楽しかった。駐車場に車を停めて290円のノリ弁たべるのも楽しかった。

一つ一つが楽しい想い出なのに。ここに記録しておいたらよかったなあ。

ここにいます

はてなで新稲法子を検索するともれなくここに飛ばされるってほんとうですか?!

 

絶賛放置中のブログ「たべたもの」ですが、現在たべたものの写真はほぼ毎日Instagramに挙げてTwitterでつぶやいています。

ふつうの自炊がほとんどです。

 

私の仕事について興味がおありの方は、はてなダイアリー「固窮庵日乗」をご覧ください。

http://d.hatena.ne.jp/masudanoriko/

 

Facebookは一時期するように勧められましたが躊躇しているままです。今ではFacebookも以前の勢いがなくなってきたのでFacebookが滅びるか私が滅びるかの勝負だっ!

Twitterは朝起きて「むくり」、眠くなって「ぱたり」以外には、せいぜい「キエエエ」くらいしかつぶやいていません。

死ぬときは「ぽくり」とつぶやきたいと思っています。

いかなご熱

 西宮市に引っ越して迎えた初めての春、スーパーの魚売り場で人寄せの鐘の音が高らかに鳴り響いた。バックヤードから運び出された商品があっという間に人だかりで見えなくなった。客はみな殺気立っていて、ただの安売りではなさそうだった。

 いかなごが初めて入荷したのだ。大阪生まれ大阪育ちの私にとって、いかなごを見たのはそれが初めてだった。イカナゴとは、関東でコオナゴ、大きくなるとカマスゴと呼ばれている魚の稚魚である。大きさはせいぜい2センチくらい。それ以上大きくなるとシンコと呼ばれている。阪神間、播磨や淡路では、いかなご漁が解禁になるとこれを買い求め、各家庭で佃煮にするのだ。2センチほどのいかなごは炊きあがると一様に飴色の古釘のように曲がっていて、これを釘煮という。

 釘煮を炊く時期には台所用品売り場にも大きな鍋が並び、郵便局にはいかなごを送りましょうという幟が立つ。この辺りの人々の、いかなごにかける情熱は並々ならぬものがある。まるで熱に浮かされているようなのである。

 たいしておいしいものでもあるまいに……、と私は余所者の醒めた目でスーパーに並んだいかなごを見ていた。初めての春は、である。

 翌年、再び春の訪れと共に入荷したいかなごを見た時、どういうわけか胸の奥から熱い願望がふつふつと湧いてきた。

 炊きたい……。この小さい魚を、飴色に、炊きたい……!

 

 初めて炊いたいかなごは意外にうまくできた。あちこちにお裾分けしたけど好評だった。そしてさらに翌年の春になると、スーパーでかかっていた「いかなご いかなご」と繰り返す謎のテーマソングを口ずさみながら、いかなごはまだかと待ちわびるようになってしまったのである。

 

 西宮から引っ越すことに決まった春、私は例年通りいかなごを1キロ求め、釘煮にした。けれど初めて水揚げされたそれは小さすぎて、味はよかったけれどできあがりに満足できなかった。ちょうどいい大きさのいかなごが出回るようになるのを待って、もう一度炊いた。今度は忙しくて買い求めた翌日に炊いたからか、できあがったいかなごはモロモロに崩れてしまった。

 これでは後悔する。もしかするともう、引っ越したらいかなごを炊くこともないかもしれないのだ。ーーそう思って3キロめのいかなごを買った。スーパーで吟味していると、隣にいた年配の女性と目が合った。女性はにやりと笑った。「おぬしもか」と言われた気がした。

 家に帰ると息子が「また買うてきたん?」と1オクターブ高い声を出してあきれた。「今までの釘煮には満足でけへんのや……」そう言って厳しい目で釘煮を作る用意をしている私の後ろで、「職人かよっ!」と息子の声がした。

 3キロめの釘煮は満足のいく仕上がりだった。あちこちお裾分けして好評だった。これが人生で最後の佃煮かも知れないと感慨無量だった。しかし、それから程なくして私は引っ越すことになった。引っ越し先は神戸。春にはやはり、いかなごを買い求めて釘煮にしているのである。

 

ひさびさにこちらのブログを更新しました。たべたものはTwitterに記録しています。食べ物に関する長い文章を書いたらこちらにupしようと思います。

 

本宅引っ越しのときたべたもの

4日の本宅引っ越しまではあるもので工夫してできるだけ食べ尽くした。5日は昼も夜も夫と外食した。昼はスパゲティ、夜はシーフードの定食。

5日は一人で片付けをしていたけど、和歌山のともだちが温泉に入らない? と呼んでくれたので午後から出かけた。晩は韓国料理。